2016/05/17

Update: Edouard Lanteri “Modelling A guide for teachers and students” 1902





Edouard Lanteri “Modelling A guide for teachers and students” 153pp, Chapman & Hall, Ltd., London, 1902

サウスケンジントンのロイヤルカレッジで彫刻の教授を務めたエドゥアルド・ランテリ(1848-1917)による『モデリング 教師と学生のための手引き』。原著はリプリント版よりもふた回りほどサイズが大きい。
 彫刻の技法には大まかに分けてモデリングとカービングがあり、モデリングは粘土などを芯材に盛り付けて造形する方法で、カービングは石材や木材を鑿を用いて彫り進めて造形する方法のことである。本書は前者のための手引書で製作手順を段階的に撮影した造形プロセスも載っている。
 内容としてはオリジナリティが非常に高いが、クセが少なく読みやすい。おそらくランテリにとって彫刻的に肝要な部分をきちんと盛り込んだのであろう。像の姿勢も興味深く、例えば側面図は腋窩と側腹部の観察が邪魔にならないように工夫されている。解剖図は線を交差させて陰影を描くクロスハッチングではなく、単一方向の線で形を描いている。この単一方向の線を用いた描写は、20世紀の中頃にメディカルイラストレーターのラッセル・ドレイクが画法として確立しているが、ドレイク以前に類似した描写法が存在したようである。
(初版、筆者蔵)

リプリント版解説:reprint ed.

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